コンピュータの基礎第1講
コンピュータとは
【第1講のポイント】
・パソコンのカタログに並ぶ以下の数値は何を意味するだろうか。
CPU:2GHz(ギガヘルツ)、
メモリ:512MB(メガバイト)、
ハードディスク:200GB(ギガバイト)、
この章では、コンピュータの大まかな構成や動作原理を理解し、これらの意味を直感的に理解しよう。
【第1講の目標】
学習後、以下のことが身についたかチェックしよう。
- ビットとバイトの意味が分かる
- 次の数詞の意味がわかる
キロ(K)、メガ(M)、ギガ(G)、テラ(T)、ミリ(m)、マイクロ(μ)、ナノ(n)、ピコ(p)
- コンピュータを構成する要素(装置)を言える
- 主記憶装置と補助記憶装置の機能の違いと、使われ方を理解している
- コンピュータのカタログに記載されている次の数値の意味が分かる
CPU(クロック周波数):2GHz、メモリー:2GB、ハードディスク:1TB
- 次の言葉の意味が分かる
プログラム、高級言語、OS、アプリ、マイクロコンピュータ、パソコン、汎用コンピュータ
【第1講の構成】
- 1節 計算道具の歴史
- 2節 ビット、バイト、数詞
- 3節 コンピュータの仕組み
- 4節 ソフトウェア
- 5節 コンピュータの種類
第1節 計算道具の歴史
コンピュータとは何かを理解するために、計算道具の歴史を眺めてみよう。
計算具
筆算でのノートと鉛筆の役割を果たす計算補助具は古代から使われてきた。
歯車式計算機
歯車を手で回して、機械的に加減(乗除)の計算ができた。
- パスカリーヌ:Blaise Pascal が1645年に発明した機械式計算機。
- タイガー計算機(シミュレータ):大正12年から昭和45年まで製造販売された、日本の代表的歯車式計算機。
- バベッジの階差機関(動画):多項式の数表を作成するよう設計された機械式計算機
コンピュータ
プログラムによって、自律的に動作する。回路(を構成する素子)の発展段階に応じて、次のように区分される。
- リレー式:回路にリレー(電気的スイッチ)を利用
- 第1世代:回路に真空管を利用
- 第2世代:回路にトランジスタを利用
- 第3世代:回路にIC(集積回路)を利用
- 第3.5世代:回路にLSI(大規模集積回路)を利用
- 第4世代:回路にVLSI(超大規模集積回路)を利用
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- 計算具、歯車式計算機、コンピュータのそれぞれの違いを述べよ
- 電卓はコンピュータか?
- 黎明期のコンピュータENIACとEDVACの写真を見て気づく違いを述べよ。その理由は何か?
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第2節 ビット、バイト、数詞
コンピュータは0,1で動くと言われる。その意味はこれから学習するが、この節ではコンピュータの世界でつかわれる単位や数詞について学習しよう。
0,1の1桁を
1ビット(b)といい、8桁すなわち8ビット(b)を
1バイト(B)という。
1ビットの値は 0 か 1 の2通りあり、
1バイトの値は 00000000 ~ 11111111 の 2×2×2×2×2×2×2×2=2
8=
256通りある。
英語の数詞は3桁(10
3)ごとに
キロ(K)、メガ(M)、ギガ(G)、テラ(T)という。日本語の数詞は4桁(10
4)ごとだから、
キロは千、メガは百万、ギガは十億、テラは一兆にあたる。小数点以下の数詞は 10
-3ごとに、
ミリ(m)、マイクロ(μ)、ナノ(n)、ピコ (p)である。
32,109,876,543,210.123,456,789,012,3
T G M K m μ n p
一方、
210=1024≒103なので、コンピュータの世界では、2
10ごとに、
K=210、M=220、G=230、T=240を意味することもあるが、本講義では特に断らない限りこの使い方はしない。概数計算には
210≒1000と覚えておくとよい。
詳しくは
数詞一覧を参照せよ
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- 1KB(キロバイト)は何ビットか
- 16Mb(メガビット)は何バイトか
- 200M(メガ)を日本語の数詞で表せ
- 30K(キロ)を日本語の数詞で表せ
- 1μ(マイクロ)は何分の1か
- 50n(ナノ)は何分の1か
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第3節 コンピュータの仕組み
機能と構成装置
コンピュータは
- 入力されたデータやプログラムを記憶し
- プログラムに定められた手順にしたがって、演算・処理を行い
- その結果を出力する
ように
制御される。これらの機能を実現するため、コンピュータは通常、下図のように、
CPU(演算と制御を行う)、
主記憶装置(計算に必要なプログラム・データを一時的に格納)、
二次記憶装置(プログラム・データを保存)、
入力装置、出力装置から構成される。
機能 | 構成装置 |
演算・処理 | CPU |
制御 |
記憶 | 主記憶装置 |
補助記憶装置 |
入力 | 入力装置 |
出力 | 出力装置 |
カタログを見る
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CPU | プロセッサ名:_______、速度:_______Hz |
主記憶 | 容量_______GB |
HDD | 容量_______GB |
入力装置 | _______ |
出力装置 | _______ |
通信装置 | _______ |
OS | _______ |
アプリ | _______ |
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以下、カタログを読み解いていこう。
CPU(中央演算処理装置 )
CPU(Central Processing Unit)は、コンピュータの頭脳部で計算や制御をつかさどる。CPU内の各部品は同期して(タイミングを合わせて)動作する。その頻度を
クロック周波数といい、2GHz (ギガヘルツ)であれば毎秒2ギガ(20億)回動作する。同種のCPUであればこの数値が大きいほど処理速度が速くなるが、異種のCPUではクロック周波数の大きい方が速いとは限らない。
また、CPUが一度に処理するビットサイズ(2進桁数)によって、
32ビットマシーン、
64ビットマシーンなどという。
主記憶装置
主記憶装置(主メモリ)は下図のように、区画ごとに(2進数の)番地が割り振られ、1バイトのデータが格納される。
ア ド レ ス 選 択 回 路 |
⇒ |
番地 | 内容 |
00000000 | 00000000 |
00000001 | 00010010 |
00000010 | 00000110 |
・ ・ ・ | ・ ・ ・ |
|
⇔ |
読 み 書 き 回 路 |
主記憶は、アドレス選択回路を通して任意の番地に対してアクセス(読み書き)できることから、
RAM(Random Access Memory) と呼ばれる。 また、
揮発性といって、主記憶内のデータは電源が切れると失われる。
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- キーボードから毎秒10字入力する人が1字入力する間に、クロック周波数2GHzのCPUは何回動作するか。
- RAMは何の略か。またその意味を答えよ。
- 揮発性とはどういう意味か。
- 1GBの記憶装置中に、全角(2バイト)文字を何文字格納できるか。それは、1ページ当たり全角40字×25行で200ページの本、何冊分にあたるか。
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補助(二次)記憶装置
二次記憶装置ともいいい、ハードディスクが代表的である。フロッピーディスク、DVD-R、DVD-RW(読み書き可能なDVD)、USBメモリー等の外部記憶装置も含まれる。補助記憶装置は電源を切ってもその内容が失われず(
不揮発性)、
安価で
大容量であるが、主記憶に比べてアクセス(読み書き)速度は非常に
遅い。
プログラムやデータは通常補助記憶装置に貯えられていて、一度主記憶に読み出されて(
load)から実行される。計算終了とともに、計算結果等必要なデータを再び補助記憶装置に保存(
save)する(でないと電源OFFとともにデータが失われる)。
右上図(
Wikipedia)にみられるように、
ハードディスクでは、複数の円盤(
ディスク)の上下面の各円周(
トラック)が
セクターに分割され、そこにデータが記録される。データの読み書きは、ヘッドがデータのあるトラック上に移動し(
シーク)、円盤が回転してデータセクターがヘッドの下に移動した(
サーチ)ときに行われる。
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特徴 | 主記憶装置 | 補助記憶装置 |
アクセス速度 | | |
価格 | | |
容量 | | |
揮発性 | | |
両記憶装置の使われ方
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通信装置
現在では、コンピュータはインターネットアクセスなどの通信機器としての性格を強く持ち、
Wi-Fiに代表される無線ネットワークとの接続装置や
LANケーブルの口を備えているのが普通である。
入力装置
入力されたデータを0,1の列に変換して、コンピュータに伝える。キーボード、マウス、スキャナー、タブレット等がある。
出力装置
0,1の列を文字や音声、画像などの人間にわかりやすい表現に変換して表示する。ディスプレイ(モニタ)、プリンタ、プロッター、等がある。
他のカタログ情報
- ビデオメモリ
- ディスプレイに表示される内容を保持しているメモリ。CPUはビデオメモリに表示内容を書き込み、ディスプレイへの表示作業は、専用のビデオカード(グラフィックス・アクセラレータ)が受け持つ
- 表示モード
- 画面の横と縦のドット(画面を構成する点、ピクセル)数と、ドットごとに設定可能な色数で指定される。光の3 原色(赤緑青、RGB) がそれぞれ28=256段階の明るさで指定されるので、色数は通常約1677万(=224)色である
- システムバス
- システムバスはCPUとメモリをつなぐ伝送路で、バス幅(通常32ビット)に対応する本数の信号線を束ね、同期をとって伝送する。バスクロックが200MHzならば、メモリへの読み書き動作の同期が毎秒2億回とられることを意味する
第4節 ソフトウェア
プログラム
コンピュータに動作の指示を与える一連の命令の集まりで、
コンピュータは(原理的に万能な)プログラム実行機械である。
コンピュータが直接実行できる命令を
機械語といい、人間がコンピュータに指示する(プログラムを書く)ときに使う言語を
高級言語という。与えられた高級言語プログラムを機械語に翻訳するプログラムを
コンパイラ(インタプリタ)と言う。
ソフトウェア
不特定多数の人が頻繁に利用するプログラムで、
システムソフトウェア(いわゆる
OS)と
応用ソフトウェア(
アプリ)に分かれる。ユーザが通常利用する応用ソフトウェアは、システムソフトウェアの機能を利用して動作する。
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- 知っているOSの名前をできるだけあげよ
- 知っているアプリの名前を5つあげよ
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第5節 コンピュータの種類
コンピュータはその用途、サイズによって以下のように分類される。ただしこの分類は大まかな目安で、必ずしも明確でも確定的なものでもない。
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種類
- マイクロコンピュータ
- スマートフォン
- タブレット(端末)
- パーソナルコンピュータ
- ワークステーション
- 汎用コンピュータ
- スーパーコンピュータ
説明
- 携帯型パソコンの機能を取り込んだ携帯電話
- メインフレームともいい、事務計算・科学技術計算などの区別なく、広い範囲の処理が可能な高性能で大型のコンピュータ。
- 業務処理や高度な数値計算を行える能力を備えた小型のコンピュータ。ネットワークサーバとしても使われる
- 様々な分野でのシミュレーション等、膨大な計算量のデータを高速で処理するコンピュータ。京が有名
- パソコンと呼ばれる個人用コンピュータ
- 板状の筐体の中に、本体、タッチパネル、ディスプレイやスピーカーなどが内蔵されたオールインワンコンピュータ
- 家電製品や(工業用)ロボット等に組み込まれることも多い超小型コンピュータ
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